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AIコールセンターとは?活用できる業務・導入効果・進め方

受付、オペレーター支援、通話後の記録でAIをどう活かすか。人の役割、効果の測り方、導入前の確認事項を業務マップと実務表で解説します。

公開日: Daisybell Japan

AIコールセンターとは?活用できる業務・導入効果・進め方

コールセンターでAIを使うと聞くと、「人の代わりにAIが電話へ答える仕組み」を思い浮かべるかもしれません。実際には、担当者が回答を探す時間を支援したり、通話後の記録を下書きしたりする使い方もあります。

大切なのは、センター全体を一度にAIへ置き換えることではなく、どの仕事で何が負担になっているかを確かめることです。受付、応対中、後処理、品質管理では、必要な機能も評価方法も異なります。

この記事では、AIコールセンターの活用範囲を業務別に整理し、導入効果の見方と、小さく試すための手順を解説します。

AIコールセンターとは

AIコールセンターとは、AIを使って顧客への応対、オペレーターの作業、管理者の分析などを支援・自動化するコールセンターのことです。 特定の製品や一つのシステム構成を表す名称ではありません。

顧客と直接会話するボイスボットは、その一部です。人が会話を続けながらAIの支援を受ける構成もあります。電話に加えてチャットやメールを扱う場合は、AIコンタクトセンターと呼ばれることもありますが、実際の対象業務は個別に確認します。

AIによる担当者支援を扱った研究もあります。たとえば、顧客サポート担当者に会話支援ツールを導入した研究では、業務への影響が検証されています。ただし、特定の顧客サポート業務における結果を、日本語の電話窓口や自社の業務へそのまま当てはめることはできません。研究論文「Generative AI at Work」

電話対応全体の選択肢から確認したい方は、AI電話対応の基本記事もご覧ください。

どの業務にAIを活用できるか

AIの活用範囲を考えるときは、「AIがすること」と「人が決めること」を並べて整理すると、担当が曖昧になりにくくなります。

一本の電話を支えるAIの仕事。人の担当者、AIの支援、受付、応対中、通話後、管理、用件分類、回答候補、記録の下書き、課題の整理、対象を判断、内容を確認、記録を確定、改善を決める、役割分担の一例。

図1:一本の電話を支えるAIの仕事。本文の関係や手順を整理した図。

受付:用件の確認と振り分け

最初に用件を聞き、担当する窓口へ案内する使い方です。決まった質問への回答や、折り返しに必要な情報の受付も候補になります。

ここでの確認点は、AIが言葉を認識したかだけではありません。必要な窓口へ届いたか、転送先でもう一度すべて説明していないか、対象外の相談が迷子になっていないかを見ます。

応対中:回答候補や参照情報の提示

オペレーターが会話をしながら、関連するFAQやマニュアル、回答候補を参照する使い方です。AIが見つけた情報を、人が現在の相談内容に合っているか確認して案内します。

料金や契約条件、適用日が変わる情報は、回答の文章だけでは判断できません。参照元の文書、更新日、対象となる条件まで確認できるようにしておくと、使ってよい回答を選びやすくなります。

通話後:記録・要約の下書き

通話内容の文字起こしや要約を、記録作成の補助に使います。「何について相談したか」「何を回答したか」「次に何をするか」という項目をそろえると、担当者が確認する場所を絞れます。

一方で、固有名詞、金額、日付、否定表現は、誤ると後の業務に影響します。「契約を変更しない」が「変更する」になっていないかなど、業務上重要な情報を優先して確認します。

管理:よくある問い合わせや対応上の課題の整理

記録を分類し、よく出る質問や、担当者が迷いやすい手続きを探す用途もあります。問い合わせの傾向をFAQの更新や教育に戻せると、個々の通話支援から業務改善へつなげられます。

ただし、分類結果をそのまま事実として扱わず、元の会話を確認できるようにします。声の調子などから推定した感情だけで、顧客の意図や担当者の応対品質を決めつけないことも必要です。

導入効果は「何の負担が変わるか」で考える

コールセンターAIに期待される効果は、対象とする作業によって異なります。導入前の値と、導入後に人が補っている作業まで含めて比較します。

改善したい負担検討する使い方効果と一緒に確かめること
用件確認や取次ぎに時間がかかる受付・分類の支援誤った転送、転送後の聞き直し
回答の検索に時間がかかるFAQ・マニュアル検索の支援参照元の正しさ、回答の修正
通話後の入力が長い文字起こし・要約の下書き確認・修正を含めた後処理時間
応対の見直しに手が回らない記録の分類・確認候補の抽出抽出漏れ、誤判定、確認者の負担

「AIが要約を作る時間」と「担当者が記録を確定するまでの時間」は違います。生成自体が速くても、修正が多ければ後処理の負担はあまり変わりません。

人手不足に対しても、AI導入だけで原因を解消できるとは限りません。採用や定着、シフト、教育、問い合わせが増える原因を別に確認し、作業支援が有効な部分を選びます。

通話時間と、用件の解決を一緒に測る

通話を短くすることだけを目標にすると、説明不足や未解決の問い合わせを見逃すことがあります。終了後に同じ内容で電話がかかってくれば、顧客にもセンターにも追加の負担が生まれます。

通話時間だけで成果を決めない。導入の評価、効率、品質、解決、確認・修正の手間、誤案内・記録漏れ、再入電・残作業。

図2:通話時間だけで成果を決めない。本文の関係や手順を整理した図。

最初に決めたい測定項目

指標何を見るか集計前に決める条件
後処理時間通話後の記録や確認にかかる時間下書きの修正・登録を含めるか
用件完了率定義した終了地点まで進んだ割合対象用件、完了の定義、分母
再入電同じ用件で再び電話したか同一用件の判定、観測する期間
有人連携の品質必要な情報を持って担当者へ渡せたか情報不足、転送失敗、聞き直し
応対の正確さ誤案内や重要な記録漏れがないか評価項目、確認対象、判定者

たとえば、AIが受けた予約変更の希望を担当者に渡す業務なら、受付の完了と予約変更の完了を別に記録します。人へ引き継ぐべき相談を適切につないだことも、失敗として一括集計しないようにします。

指標の定義は途中で黙って変えず、対象と条件を記録します。繁忙期と閑散期、簡単な用件と複雑な用件を、そのまま比較しないことも大切です。

導入前に確認したい課題

参照する情報が整っているか

FAQが部署ごとに異なる、古い料金表が残っている、例外条件が担当者の記憶にしかない、といった状態では、AIにも正しい判断材料を渡せません。最初に、どの文書を正しい情報源として使うかと、更新する担当者を決めます。

電話・顧客管理システムにつながるか

電話回線や転送先、顧客管理システム、記録先との接続を確認します。データを参照する権限と、書き換える権限は分けて考えます。AIが提案するだけなのか、人が承認すると登録されるのかも明確にします。

連携が失敗したときは、二重登録や未登録を見分けられることが必要です。担当者が、どこまで処理が済んだかを追える記録を残します。

録音や記録の利用範囲が決まっているか

通話から個人を識別できる場合、その内容は個人情報に該当します。個人情報保護委員会のQ&A

利用目的、閲覧できる人、保存期間、外部委託先、モデルの学習への利用有無を確認します。分析や教育への二次利用も、最初の用途と同じ扱いでよいとは限りません。社内の管理担当者と、実際の契約・設定を照合します。

現場が使い続けられるか

担当者が提案を修正した理由、役に立たなかった検索結果、引き継ぎで足りなかった情報を集めます。現場の指摘を誰が受け、いつ反映するかまで決めると、導入後の改善が止まりにくくなります。

管理者には、システムの状態を監視する仕事に加え、回答の根拠や運用ルールを保つ役割が残ります。AIの利用に伴うリスクと対策を検討する資料として、IPAのAIセキュリティ情報も参照できます。

小さく試すための進め方

  1. 対象を一つに絞る。 「予約変更希望の受付」「通話後の記録」など、始点と終点を説明できる仕事を選びます。
  2. 現状を記録する。 件数、所要時間、記録漏れ、聞き直しなど、改善したいことに対応する値を取ります。
  3. 実際に起きるケースをそろえる。 通常の用件だけでなく、言い直し、情報不足、対象外、システム障害も含めます。
  4. 限定した範囲で試す。 対象の窓口・時間帯・担当者を決め、問題が起きたら元の運用に戻せるようにします。
  5. 結果を見て継続を決める。 効果、誤り、顧客の手間、現場の負担を確認し、拡大・修正・停止を判断します。

試験の合格条件は、開始前に用件ごとに決めます。全体の平均が良くても、重要な確認を省くケースがあるなら、そのまま対象を広げるべきではありません。

一つの通話を追って、改善する作業を選ぶ

AI活用の候補を洗い出す際は、機能の一覧から選ぶ前に、一件の問い合わせを受付から終了まで追ってみます。担当者がどの画面を開き、何を検索し、誰に確認し、どこへ記録したかを並べる方法です。同じ通話時間でも、説明に時間を使ったのか、情報を探して待たせたのかによって、改善すべき仕事は変わります。

たとえば請求に関する問い合わせで、担当者が契約を探し、適用条件を調べ、回答後に複数の記録先へ転記しているとします。この場合、電話に出る部分だけを自動化しても、検索や転記は残ります。回答検索の支援から始めるのか、記録の下書きから始めるのかは、実際に時間と誤りが発生している場所を見て決めます。

調査のために全件を細かく記録できない場合は、代表的な用件と、担当者が難しいと感じる用件を選びます。簡単な通話だけを見ると、例外にかかる支援負担を見落とします。逆に、難しい通話だけを見ると、繰り返しの多い定型作業を過小評価する可能性があります。対象の選び方も結果と一緒に残しておきましょう。

改善候補を評価する四つの質問

候補が複数ある場合は、「負担が大きいか」「手順を決められるか」「正しい情報があるか」「結果を確かめられるか」を確認します。負担が大きくても、業務の判断が整理されていなければ準備が必要です。一方、手順が単純でも、ほとんど発生しない仕事では維持する手間に見合わないかもしれません。

候補選びやすくなる条件開始前に解消したい不足
回答の検索支援正しい資料と適用条件が明確古い文書と新しい文書の混在
記録の下書き必要項目と確認者が決まっている何を記録するかが担当者任せ
一次受付用件と聞く情報が整理されている受付後の担当者が不明
品質確認の支援評価する観点がそろっている判定者ごとに基準が違う

この表は、特定の順序で導入すべきだという意味ではありません。対象業務の条件によって開始点は変わります。小さく始める場合も、簡単に設定できる機能を選ぶだけでなく、その結果が現場のどの負担に効くのかを説明できることが大切です。

担当者支援AIは、提案を確認する動作まで設計する

回答候補を画面に出す場合、提案文が表示されるだけでは十分ではありません。参照した資料、適用条件、対象の日付が確認できるかを見ます。担当者が提案の正しさを判断するために別の画面を何度も開くなら、検索の手間が別の確認作業へ移っただけになる可能性があります。

特に、契約時期やプランによって回答が変わる質問では、よく似た説明が複数存在します。文章として自然な候補が出ても、その顧客へ適用できるとは限りません。確認すべき条件を画面や手順に残し、分からない場合は管理者へ相談する流れを用意します。提案を読むことと、案内を決めることを区別します。

運用中は、候補が採用された割合だけでなく、修正した理由も集めます。対象条件が違った、古い資料だった、説明が長かった、必要な情報が不足していた、といった分類があると、資料の問題と表示の問題を分けられます。修正理由を残す入力自体が負担にならないよう、現場で扱える項目数にします。

また、経験者と新人では支援の受け止め方が違う場合があります。経験者には既知の説明が多く、新人には判断材料が不足しているかもしれません。全員の平均だけを見るのではなく、担当する用件と習熟の状況を踏まえて確認します。これは個人を順位づけるためではなく、必要な支援の違いを見つけるための整理です。

要約の品質は、次の担当者が動けるかで確認する

通話要約を短く整えることと、業務記録として使えることは同じではありません。「予約変更について問い合わせがあった」という一文では、希望日時や未実施の処理が分かりません。次に対応する人が何を確認すべきかを判断できる項目を、先に決めておきます。

記録の確認では、氏名や番号などの識別情報、日付や金額、否定、希望と約束、未完了の仕事を優先します。会話に出ていない内容を、文脈からもっともらしく補っていないかも確認します。分からなかった項目を空欄のまま残すことは、誤った内容で埋めるよりも、後から確認しやすい状態です。

記録の項目残す内容混ぜたくない内容
用件何を相談したか推測した利用目的
希望相手が望んだ日時や対応自社が確約した内容
確認済み照合できた情報と結果まだ調べていない情報
回答実際に案内したこと今後案内する予定のこと
残作業担当者と次にすること完了した処理

評価用の記録は、実際の会話と照らし合わせて確認します。誤りを数えるだけでなく、その誤りが後続業務へ与える影響も見ます。言い回しの違いと、連絡先や約束の誤りを同じ重さで扱わないことが、修正の優先順位を決めるうえで役立ちます。

管理者の仕事を、導入後も続く役割として置く

AIを使うと、回答情報の更新、対象用件の追加、品質の点検などの仕事が残ります。これらを「時間がある人が対応する」状態にすると、現場の忙しさに応じて品質が揺れます。業務の責任者、資料の管理者、システムの担当者、評価の担当者が何を決めるかをそろえておきます。

AI運用の責任を分担する。継続する運用、業務担当、情報管理、システム担当、品質担当、範囲と判断基準、正しい参照元、接続と権限、試験と改善。

図3:AI運用の責任を分担する。本文の関係や手順を整理した図。

たとえば料金の改定なら、資料の更新だけでなく、旧条件の顧客をどう扱うか、変更日をまたぐ問い合わせへ何を答えるかを確認します。システム担当者だけでは決められない事項があるため、業務上の判断をする人と、反映する人を分けて明確にします。変更を承認する人が不在のときの扱いも必要です。

現場からの指摘は、窓口を一つにまとめ、受け付けたままにしない状態にします。誤った案内を直した場合は、必要に応じて既に影響を受けた用件を確認し、その後の対応を決めます。設定を直すだけで、過去の未完了の仕事まで解消したとは限りません。

品質の点検には、正常に終わったように見える通話も含めます。エラーとして記録されるケースだけを見ると、誤った回答で会話が終わったケースを見逃す可能性があります。人へつながった通話、途中切断した通話、最後まで完了した通話を分けて確認すると、偏りを減らせます。

効果の比較表には、条件の違いを残す

導入前後を比較するときは、件数や平均時間とともに、対象の用件、期間、担当者の体制を記録します。簡単な用件だけをAIに渡した後で、有人窓口に難しい相談が残ると、人の平均通話時間が長くなることがあります。この変化だけで、有人対応が悪化したとは判断できません。

同じように、記録の下書きによって入力が短くなっても、確認や修正に時間がかかっていれば総負担は変わらないことがあります。作業の一部分だけを切り出すのではなく、開始から業務記録が確定するまでの範囲をそろえます。集計の対象外にしたケースがあるなら、その理由も残します。

改善が見られた場合も、何が効いたかを分けて考えます。AI導入と同時にマニュアルを整備し、入力項目を減らしたなら、複数の変更が結果に関係しています。すべてをAIだけの効果として扱わず、続けるべき運用改善を特定することが大切です。

判断会議では、効率、品質、顧客の手間、現場の負担を一緒に見ます。効率が改善しても、重要な誤案内が増えているなら対象を広げる前に修正します。品質を維持できていても、運用担当者の作業が想定を超えるなら、更新方法や対象範囲を見直します。機能を増やすこと自体を成果にしないようにしましょう。

現場の修正作業を改善の入り口にする

要約や分類を担当者が直した場合は、修正内容を一定期間まとめて確認します。用件の分類が違うのか、希望と確定事項が混ざるのか、必要な情報が欠けるのかによって対策が変わります。修正率だけでなく修正理由を確認することで、会話、記録形式、参照情報のどこを変えるべきかを判断できます。

担当者に毎回長い報告を書かせると、新しい負担になります。よくある理由を選べる欄と短い補足から始め、実際に改善へ使えた項目を残す形にすると運用しやすくなります。

よくある質問

AIコールセンターにすると、人の担当者は不要になりますか?

そうとは限りません。個別判断や例外対応、顧客への配慮、情報の更新、品質確認など、人が担当する仕事があります。まずは現在の業務を分け、どこを支援すると改善につながるかを考えます。

ボイスボットを入れればAIコールセンターになりますか?

顧客との音声対話にAIを使う形にはなりますが、応対支援や後処理、品質管理まで自動的に整うわけではありません。受付から記録までの流れを別途確認します。

小規模な窓口でも検討できますか?

規模だけで決める必要はありません。繰り返しの多い用件や記録作業があるか、費用に見合う改善が見込めるか、保守する担当者を確保できるかで判断します。

導入効果はいつ分かりますか?

件数や用件の種類によって異なります。数日の結果だけで判断せず、対象業務に必要なケースがそろっているかを確認します。期間だけを決めて、評価に必要な件数や例外ケースが不足したまま結論を出さないようにします。

最初の一歩は、AIに任せる仕事を決めること

AIコールセンターの検討では、機能を並べるよりも、受付・応対・後処理のどこで負担が生まれているかを明らかにすることが先です。仕事の範囲、人の判断、測定項目をそろえると、導入後の評価もしやすくなります。

Daisybellへのご相談では、負担が大きい業務と、現在どのように対応・記録しているかをお聞かせください。

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