業務改善・運用

電話対応マニュアルの作り方|受電・取次ぎ・折り返しのテンプレート

電話対応の手順、担当者への引き継ぎ、折り返しの管理までを整理。現場で使える業務手順と受付メモのテンプレート、更新・教育の進め方を紹介します。

公開日: Daisybell Japan

電話対応マニュアルの作り方|受電・取次ぎ・折り返しのテンプレート

電話対応のルールをまとめたのに、担当者が不在になると毎回判断に迷う。折り返しを約束した電話が、誰の仕事なのか分からなくなる。こうした状態では、丁寧な言い回しを増やすだけでは対応が安定しません。

電話対応マニュアルは、電話を受けてから用件を引き継ぎ、対応を終えるまでの業務手順を共有するものです。 誰が、何を確認し、どこへ記録するかを決めることで、新人も経験者も同じ基準で仕事を進めやすくなります。

この記事では、受電・取次ぎ・折り返しを中心に、マニュアルの作り方と編集して使えるテンプレートを紹介します。例文と手順は一般的な窓口を想定したたたき台です。担当部署、本人確認、連絡期限などは自社の運用に置き換えてください。

電話対応マニュアルに書くのは「言葉」と「その後の仕事」

「担当者から折り返します」と伝える言葉だけでは、仕事は完了しません。連絡先の確認、担当者への通知、引き受けたかの確認、連絡結果の記録まで必要です。

マニュアルは三つの層で整える。基本の応対、名乗り・確認・案内、判断の条件、回答・取次ぎ・折り返し、後続の仕事、記録・担当・完了確認、会話から完了まで。

図1:マニュアルは三つの層で整える。本文の関係や手順を整理した図。

マニュアルには、会話中の操作と通話後の処理を続けて書きます。受付だけの担当者と、回答する担当者が別なら、その境界も明らかにします。

資料主に決めること記載例
電話対応マニュアル業務の順序と責任担当者が不在なら受付記録を作り、当番責任者へ渡す
トークスクリプト質問、返答、会話の分岐急ぎの場合は希望時刻を確認する
FAQ問い合わせへの回答根拠受付時間、変更できる条件、手続きの案内

三つを一つの長い文書へ詰め込む必要はありません。マニュアルから該当する台本やFAQを開ける形にすると、更新箇所を絞れます。会話の作り込みは、受電トークスクリプトの作り方で扱います。

最初に整理する項目

電話の多い用件から一つ選び、実際の担当者に手順を説明してもらいます。理想の手順だけでなく、判断に迷った電話や、折り返しが遅れた記録も確認すると、必要な例外ルールを見つけやすくなります。

項目決めておく内容
対象と対象外この窓口で受ける用件、別の窓口へ渡す用件
確認情報氏名、用件、連絡先など、処理に必要な項目
回答してよい範囲参照するFAQ、担当者の判断が必要な内容
取次ぎ先担当部署、当番、不在時の代替先
記録する場所受付台帳や顧客管理システムのどこに残すか
完了の条件案内済み、担当者へ引継ぎ済み、折り返し完了など
管理する人内容の承認者、更新者、現場の相談先

「担当者に確認する」だけでは、担当者が不在のときに止まります。一次担当、代替担当、判断責任者まで決められるかを確かめましょう。

受電から折り返しまでの基本手順

1. 名乗り、相手の用件を聞く

受電後の行動を迷わず選ぶ。用件を確認、その場で回答できる?、回答して確認、担当者につながる?、取次ぎ、折り返し受付、記録し、次の担当と残作業を明確にする、はい、いいえ。

図2:受電後の行動を迷わず選ぶ。本文の関係や手順を整理した図。

窓口名を伝え、まず何の問い合わせかを確認します。相手がすでに用件を話しているなら、最初から説明し直してもらわず、聞けた情報を整理します。

例:「お電話ありがとうございます。〇〇窓口です。ご用件をお聞かせください。」

会社名や氏名を聞く順序は、窓口の目的に合わせます。一般的な営業時間の問い合わせにも必ず詳細な個人情報を聞く、という設計にはしません。

2. その場で答えられるか判断する

回答できる場合は、定めた情報源で内容を確認します。料金、受付期限、契約条件などを記憶だけで案内しないよう、確認するページや資料を指定しておきます。

すぐに分からない場合は、確認することを伝えます。保留にするときは相手の了承を得て、確認に時間がかかるなら一度戻り、待つか折り返すかを相談します。一律の保留秒数より、自社が対応できる目安と途中の案内を決めることが先です。

3. 担当者へ取り次ぐ

転送先には、相手の氏名と用件、すでに確認した内容を伝えます。単に電話を移すだけでは、相手が最初から説明することになります。

例:「予約内容の確認をご希望の〇〇様です。受付番号は確認済みです。変更のご希望があり、詳しい条件のご案内をお願いします。」

担当者が出なかった場合に、元の受付へ戻るのか、折り返し受付へ移るのかも確認します。電話機やシステムの操作手順は、使っている設備の画面・ボタンに合わせて別紙にまとめると実用的です。

4. 不在なら折り返し方法を確認する

例:「担当者はただいま対応中です。折り返しをご希望でしょうか。」

希望があれば、連絡先、連絡可能な時間、急ぎの程度を確認します。相手の希望時刻と、こちらが約束できる時刻は区別します。担当者の予定が分からない段階で「必ず本日中に連絡します」と確約しないようにします。

確認できた範囲では、「ご希望の時間帯も担当者へ伝えます」と案内できます。連絡期限を約束する場合は、引き受ける担当者と実行可能性を確認してから伝えます。

5. 要点を確かめ、通話後の処理を行う

連絡先、依頼の内容、次の対応を相手と確認して終話します。電話番号を復唱するときは、聞き取った数字をまとまりごとに確かめると訂正しやすくなります。

通話後は、担当者へ通知したことと、担当者が引き受けたことを別々に記録します。共有先へメモを送っただけで完了にすると、確認されていない依頼が残るためです。

コピーして使える受付・引継ぎテンプレート

次の項目を文書や受付台帳へコピーし、自社の記録方法に合わせて編集してください。記入欄にある「未確認」は、担当者が確認すべき状態を表します。推測で埋めるための欄ではありません。

【電話受付・引継ぎ記録】
受付日時:
受付担当:
相手の氏名・会社名(業務上必要な場合):
連絡先/復唱確認:
用件:
相手の希望:
確認できた事実:
案内した内容:
未確認・未対応の事項:
次の対応者:
連絡希望の時間帯:
約束した連絡期限(未確約ならその旨):
担当者への通知日時:
担当者の引受け確認:
対応結果/完了日時:

個別の用件の手順書は、次の形式にすると更新箇所を見つけやすくなります。

【用件別マニュアル】
用件名:
この手順で受ける範囲/対象外:
最初に確認する項目:
回答の参照先:
処理する順序:
担当者へ渡す条件/引継ぎ先:
不在・接続失敗の場合:
記録する場所:
受付の完了条件:
その後の対応責任者:
更新日/版/承認者:

通常の手順で進まないときの判断も書く

例外をすべて細かい台本にする必要はありません。受付担当だけで判断してよいことと、責任者へ相談する条件を分けます。

場面マニュアルに必要な決め事
氏名や番号が聞き取れない聞き直す項目、別の確認方法、確認できない場合の扱い
相手が急いでいる希望する期限を聞き、緊急度を判断できる担当者へ渡す
個別の契約内容を聞かれる本人確認と回答権限を確認し、確認前には開示しない
強い不満や有人対応の希望がある相談・引継ぎ先と、引き継ぐ記録を決める
記録システムが使えない社内で認めた代替記録と、復旧後の転記・照合方法

通話内容から特定の個人を識別できる場合は、個人情報に該当します。個人情報保護委員会のQ&A

受付メモや録音についても、保存場所、閲覧できる人、保存期間を社内のルールとそろえます。教育用の例には、実際の連絡先や不要な個人情報を持ち込まないようにします。

作成後は、読んで終わらず実際に使って直す

完成したマニュアルは、初めて見る人に使ってもらいます。通常の受付だけでなく、担当者不在、聞き取り不足、途中で用件が変わる場面を試してください。

「どのページを見ればよいか分からなかった」「折り返しの依頼先が二つあった」といった迷いを集め、手順や見出しを直します。通話時間だけで評価せず、記録漏れ、取り次ぎ先の誤り、再確認が生じた理由も見ます。

運用開始後は、窓口や料金の変更、システムの入れ替え、問い合わせ傾向の変化を更新のきっかけにします。最新版を一つに決め、旧版を参照し続けないようにすることも大切です。

AI電話対応へ展開するときの使い方

業務手順が整理されていれば、AIに任せる受付と、人が判断する仕事を切り分ける材料になります。ただし、文書を渡せば、そのまま正しく電話対応できると考えるのは早計です。

相手への質問、回答してよい内容、記録項目、例外時の引継ぎを会話として設計し、実際に試す必要があります。詳しくはボイスボット導入の進め方をご覧ください。

現場への聞き取りでは、正解より「迷った場面」を集める

マニュアルの材料を集める際は、経験者に基本手順を説明してもらうだけでなく、最近判断に迷った電話を思い出してもらいます。担当者が不在だった、必要な番号が分からなかった、二つの部署に関係する相談だったなど、通常の説明から外れる場面に、書くべき条件が隠れています。

聞き取りでは、何が起きたか、どの資料を見たか、誰へ相談したか、どこで対応が止まったかを順に確認します。「慣れれば分かる」という判断は、どの情報を見れば判断できるのかへ分解します。条件を明確にできない場合は、受付担当者の判断範囲から外し、相談先を決めることも必要です。

複数の担当者で対応が違う場合は、どちらかをすぐ正解にするのではなく、前提の違いを調べます。対象商品や契約時期が違っていた、ある担当者だけが更新情報を知っていた、といった事情があるかもしれません。手順を統一する前に、根拠と適用条件をそろえておきます。

記録を集める場合は、教育や改善に必要な範囲へ絞ります。実際の氏名や電話番号をそのまま例文へ転載する必要はありません。架空の値へ置き換えても判断の条件が分かる形にすると、資料を共有しやすくなります。個別情報の取扱いは社内の管理ルールに従ってください。

マニュアルは、三つの層に分けると探しやすい

共通の応対、用件別の判断、機器やシステムの操作を一つの長い文書へ並べると、必要な箇所へ到達するまでに時間がかかります。共通の基本手順を入口にし、用件別の詳細と操作の説明を必要に応じて開ける構成を検討します。内容を分けても、正しい情報源は一つに保ちます。

最初の層には、名乗り、用件確認、回答・取次ぎ・折り返しの選択、記録という共通の流れを置きます。二つ目には、予約、請求、取次ぎなど、用件ごとの確認項目と判断条件を置きます。三つ目には、電話機の操作や記録画面の入力方法を置きます。操作画面が変わっても、業務判断の説明をすべて書き直さずに済むようにします。

見出しには、担当者が探す言葉を使います。「例外対応」だけでは範囲が広いため、「担当者が出ない」「連絡先が聞き取れない」のように困った状態で検索できると実務に結びつきます。社内の正式用語と現場で使う言い方が違う場合は、別名からもたどれるようにします。

層掲載する内容更新のきっかけ
共通の基本用件確認、振り分け、終話、記録窓口全体の運用変更
用件ごとの判断条件、確認項目、回答範囲、例外商品・手続き・担当範囲の変更
操作の手順転送、検索、入力、保存電話設備や画面の変更

新人向けには、なぜ確認が必要かという理由を添えます。経験者向けには要点を確認できる一覧を用意してもよいですが、別の判断基準を育てないよう、同じ正本に結びつけます。詳しさの違いと、ルールの違いを混同しないことが重要です。

「担当者不在」の手順を、実行できる文書へ直す例

「不在なら折り返しを案内する」という一行だけでは、希望を聞くのか、その場で連絡を約束するのかが分かりません。具体化するときは、受付担当者が行う確認、相手に伝える内容、記録、通知先、通知後の確認を順に書きます。以下は編集用の架空例です。

まず、担当者へ接続できない状態を確認します。戻り時刻が確認できていなければ、その時刻を推測して伝えません。次に、相手が折り返しを希望するかを聞き、希望があれば連絡先と連絡しにくい時間を確認します。すでに伝えられた情報は使い、足りない項目だけを追加で聞きます。

終話前には、受け付けた用件と、担当者が確認することを短く整理します。時刻を確約できない場合は、その状態を案内します。通話後に受付台帳へ記録し、担当者へ通知します。一定の条件で引き受けが確認できない場合は、代替担当者へ確認する手順を設けます。

曖昧な記載実行できる記載へ変える観点
担当者へ伝える誰に、どこで、何を伝えるか
急ぎなら対応する何を聞き、誰が優先度を判断するか
必要事項を聞くその用件で必須となる項目は何か
後で確認する確認する人と、未確認を追う方法は何か
対応後に終了するどの結果を確認したら完了にするか

文章を細かくする目的は、すべての会話を固定することではありません。担当者が言い方を調整しても、確認する内容と残す記録が変わらない状態を作ります。手順の途中で迷ったときの相談先があれば、未知の用件も無理な自己判断で進めずに済みます。

教育では、資料を探して使うところまで試す

マニュアルを配って読み合わせるだけでは、実際の電話中に必要な情報を見つけられるかは分かりません。相手役から用件を伝えてもらい、担当者が資料を探し、必要な確認をし、記録まで終える練習を行います。暗記できたかより、正しい手順へ到達できるかを確認します。

最初は基本の用件を扱い、次に不在や情報不足を加えます。最後に、相手が途中で希望を変える、用件が二つある、資料にない条件を尋ねるといったケースを試します。難しさを段階的に増やすと、どの条件から迷い始めるかを見つけやすくなります。

評価は、名乗りや敬語だけでなく、回答の根拠、判断の適切さ、記録の不足、引き継ぎ先を確認します。重要な確認を省いて会話が短くなっても、良い応対とは限りません。反対に、分からないことを適切に相談できた場合は、その判断を評価します。

練習後は、担当者の誤りと資料の不足を分けます。見出しから必要箇所へたどれなかったなら、索引や見出しを直す余地があります。二つの手順が矛盾していたなら、承認者が判断をそろえる必要があります。教育を個人の習熟だけの問題にせず、マニュアル自体の試験として使います。

更新依頼から反映までの流れを用意する

現場から改善点が集まっても、誰が判断するか決まっていなければ文書は変わりません。更新の窓口、承認する人、反映する人、変更を共有する方法を決めます。小さな誤字の修正と、回答条件を変える修正では、必要な確認の範囲を分けてもよいでしょう。

現場の実例からマニュアルを更新する。使って直す、実例を集める、判断条件を書く、現場で試す、版をそろえる、迷った場面、通常と例外、探して対応、承認して共有。

図3:現場の実例からマニュアルを更新する。本文の関係や手順を整理した図。

更新依頼には、該当する用件、現在の記載、実際に困った場面、参照した根拠を残します。「分かりにくい」という感想だけでなく、どの選択肢で迷ったかが分かると修正しやすくなります。現場で入力に時間をかけすぎないよう、短い報告から詳細を確認する形も考えられます。

変更後は、関連する台本やFAQに同じ内容が残っていないかを確認します。マニュアルだけを更新しても、旧版の印刷物や別の共有ファイルが使われていれば応対はそろいません。最新版の所在を明確にし、旧版の参照を止める方法を用意します。

版の記録には、更新日、主な変更内容、承認者を残します。判断条件を変えた場合は、影響する用件で再び会話と記録を試します。新しい条件を追加したことで、従来の通常対応が進まなくなっていないかも確認してください。変更を反映したことと、現場で使えることは別です。

記録システムが使えない場合の手順もそろえる

障害時の代替記録は、利用する場所と閲覧できる人を事前に決めます。各担当者が個人のメモや私物へ自由に記録する運用では、復旧後に情報を集めにくくなります。社内で認められた方法で、受付時刻、用件、連絡先、残作業を追えるようにします。

復旧後は、正式な記録先へ移したことと、既に対応済みかを照合します。同じ依頼が複数の場所に残った場合、別々の担当者が重複して連絡しないように確認します。代替記録をどう保管・削除するかも、情報管理のルールと合わせて決めてください。

電話設備の操作が変わる場合は、通常の取次ぎだけでなく、転送先が出ない、通話が切れる、元の受付へ戻るといった動作を試します。文章の説明だけでなく、実際のボタンや画面で操作を確認する必要があります。設備の仕様は、利用する機器や契約先の資料で確かめます。

マニュアルが役立っているかを確認する

完成度をページ数で評価するより、必要な手順へ到達できたか、確認漏れが減ったか、担当者へ正しい情報が渡ったかを見ます。質問が減ったことも、理解が進んだのか、相談しにくくなったのかで意味が異なります。現場の声と実際の受付記録を組み合わせて判断します。

定期的な見直しでは、迷った用件と、問題なく進んだ用件を両方確認します。うまく機能した手順を残し、使われない説明は理由を調べます。新しい項目を足し続けるだけでは、文書が長くなって探しにくくなるため、重複や古い説明を整理することも更新の一部です。

まずは、受電から折り返しまでの一件を、初めて担当する人がマニュアルだけで追えるか試してください。途中で質問が必要になった箇所が、次に直す候補です。実際に使った結果を文書へ戻すことで、形式的なルール集から日々の仕事を支える資料へ育てられます。

よくある質問

何ページ程度にまとめればよいですか?

ページ数より、電話中に必要な手順へ到達できるかで判断します。共通の基本手順は短く、用件別の詳細や機器操作は分ける方法があります。

言葉遣いを全員同じにする必要はありますか?

重要な確認や約束の内容はそろえます。一方、相手がすでに伝えた情報を再び求めないなど、状況に応じた会話ができる余地も残します。

新人向けと経験者向けは分けるべきですか?

同じ正本を使い、新人には理由や操作の補足、経験者には要点を確認できる一覧を用意する方法があります。異なるルールの文書を別々に育てないことが重要です。

まずは、折り返し受付の一件を追ってみる

マニュアル作成の出発点は、実際の電話がどのように終わっているかを確認することです。一件の折り返し依頼を、受電から担当者の引受け、連絡完了まで追うと、足りない手順を具体的に見つけられます。

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