業務改善・運用

コールセンターの人手不足を解消するには?原因別の対策と業務の見直し方

採用・定着・教育、繁忙時間帯、後処理から人手不足の原因を整理。原因別の診断表を使い、外注やAIも含めて自社に合う対策を選ぶ方法を解説します。

公開日: Daisybell Japan

コールセンターの人手不足を解消するには?原因別の対策と業務の見直し方

採用しても現場の忙しさが変わらない。午前中だけ電話があふれる。新人への説明で経験者が電話を取れなくなる。コールセンターの「人が足りない」には、異なる原因が含まれています。

人手不足への対策は、不足している時間帯と仕事を確かめることから始まります。 採用人数を増やす、定着を支える、問い合わせそのものを減らす、後処理を短くする。それぞれ効く場面が違います。

この記事では、原因別の診断表を使い、採用・教育・業務改善・外注・AIの中から対策を選ぶ方法を整理します。全国の一律の不足率や、導入すれば必ず減らせる人数を示す記事ではありません。自社の記録を使って判断するための実務ガイドです。

コールセンターの人手不足を、四つに分けて考える

人数が同じでも、問い合わせの複雑さや後処理の量が増えると、必要な時間は増えます。一方、全日の総人数が足りていても、電話が集中する時間に配置できなければ待ちが生まれます。

人手不足の特性要因図。入電集中、判断集中、入力重複、欠員の四つの原因と、それぞれの見直し方を対応付ける。

図1:人手不足を、原因からほどく。本文の関係や手順を整理した図。

不足の見え方主に確認する原因最初に見る記録
一日を通して対応が追いつかない呼量と業務量に対する体制不足用件別件数、通話・保留・後処理時間
特定の時間だけつながりにくい入電の集中とシフトのずれ時間帯別の入電、待ち時間、実際の配置
新人が増えても経験者が忙しい育成中の支援負担、判断の集中質問内容、相談先、独力で扱える用件
採用しても欠員が戻る離職・欠勤、仕事や支援体制の問題定着状況、面談で出た理由、勤務の実態

複数の原因が重なる場合もあります。離職で教えられる人が減り、教育が不十分になり、新人が困ってさらに離職する、という循環も考えられます。

厚生労働省の令和6年版「労働経済の分析」では、人手不足に対し、採用とあわせて既存人材の定着を図る重要性が論じられています。これはコールセンターだけを対象にした数値ではありませんが、採用だけで判断しないための参考になります。人手不足への対応

原因に合う打ち手を選ぶ診断表

現場で起きていること試す対策効果と一緒に見ること
朝の入電集中で待ちが長い時間帯別の配置、事前案内、折り返し受付別の時間帯の滞留、約束した連絡の実行
同じ質問が何度も来るWeb・案内文の改善、FAQ整理、定型案内の自動化問い合わせが減った理由、利用者が迷っていないか
ベテランへの確認待ちが多い判断基準の文書化、相談担当の設置、教育誤案内、自己判断の増えすぎ、指導担当の負担
通話後の入力が長い入力項目の整理、記録先の統合、要約支援修正時間、記録漏れ、二重入力
長く働く人が増えない勤務条件、業務の難しさ、相談・支援体制の見直し定着、欠勤、本人の負担感

同じ用件で再入電が多い場合は、電話の入口だけを増やす前に、最初の案内で何が解決していないかを調べます。入電件数の増加が、新規の問い合わせによるものか、未解決の繰り返しによるものかでも対策は変わります。

呼量と配置を、同じ時間幅で比べる

一日合計や月平均だけを見ると、短時間の集中を見落とします。自社の運用に合う時間幅で、入電、応答、途中切断、対応可能だった人数を並べます。

通話の終了が、仕事の終了とは限らない。通話、保留・照会、通話再開、後処理、終話、記録、次の担当へ共有、配置を考えるときは、後処理も含める、工程の概念図。幅は所要時間を表しません。。

図2:通話の終了が、仕事の終了とは限らない。数量や実績を示すものではなく、考え方を整理した図。

業務量を把握する最初の計算として、件数に平均的な処理時間を掛ける方法があります。ここでいう処理時間には、通話だけでなく保留や後処理をどこまで含めたかを明記します。

計算例:30分間に20件、1件あたりの通話・保留・後処理の合計が平均6分なら、仕事の量は20件×6分=120分です。 一人が30分間ずっと対応すると仮定した単純計算では、4人分に相当します。

これは架空の業務量の例であり、必要な配置を「4人で十分」と決める計算ではありません。電話は均等にかかってくるとは限らず、休憩、研修、相談対応、用件ごとの技能差もあります。目標とする待ち時間や応答状況に合わせ、入電のばらつきと対応可能な人員を踏まえた見積もりが必要です。

また、同じ担当者が電話以外のメールや入力作業も行うなら、その時間も計上します。名簿上の人数と、実際にその時間帯に受電できる人数を区別しましょう。

採用と定着では、仕事内容と支援の実態をそろえる

採用時に伝える業務と、実際に任せる仕事がずれていないかを確認します。決まった案内が中心と説明されていても、実務では難しい例外や強い不満への対応が多ければ、本人の想定との差が生まれます。

受ける用件、必要な操作、勤務時間、教育期間中の支援、判断に困ったときの相談先を具体的に共有します。対応しにくい電話を一人で抱え込ませないことも、職場の運用課題です。

離職や欠勤の理由は、管理者の推測だけで分類しません。本人が話せる面談や相談の機会を設け、勤務条件、教育、システム、対人負担などを分けて受け止めます。個人に結びつく記録の扱いも、社内の管理ルールに従います。

教育は、扱える用件を段階的に増やす

新人にすべての問い合わせを覚えてもらうより、最初に担当する用件と、相談すべき条件を明確にします。正しい答えを暗記したかだけでなく、参照先を探し、必要な確認を行い、記録まで終えられるかを見ます。

育成のためにベテランへ質問が集まる時間も、仕事として確保します。受電の合間に教えることを前提にすると、忙しい日ほど支援が薄くなります。

マニュアルは、長さよりも迷わず必要箇所を見つけられるかで評価します。電話対応マニュアルの作り方では、取次ぎ・折り返しの手順と記録テンプレートを紹介しています。

後処理と、問い合わせを生む原因を見直す

入力項目が多い、同じ内容を複数の画面へ転記する、過去の記録を探すのに時間がかかる。このような仕事は、通話を短くする目標だけでは減りません。

まず、記録した情報を誰が何に使うかを確認します。用途が不明な必須項目を見直し、参照する正本をそろえます。システムの統合や連携を検討する場合も、二重登録・未登録をどう検知するかまで決めます。

問い合わせ自体を減らす方法もあります。発送後に同じ確認が集中するなら、通知内容や確認画面が十分かを調べます。ただし、電話の案内を分かりにくくして入電を減らす方法では、顧客の困りごとが見えなくなるだけです。

外注とAIは、任せる仕事と残る仕事を並べて判断する

選択肢検討する場面自社に残る主な準備・運用
外部の受付・対応体制対応量や時間帯を補いたい委託範囲、知識の共有、品質確認、例外の連絡
AIによる定型案内・一次受付繰り返しが多く、対応範囲を決められる正しい情報、受付条件、人への引継ぎ、結果確認
オペレーター支援AI検索や記録の負担を減らしたい参照元の整備、提案の確認、記録の修正

AIが受けた電話を、人がもう一度聞き直していれば、受付件数ほどには仕事が減っていない可能性があります。外注でもAIでも、移した仕事と、自社側に新しく生じる確認作業を合わせて見ます。

AIを使える業務の全体像は、AIコールセンターの基本記事で整理しています。方式を決める前に、今回どの仕事を改善したいかを言葉にしてください。

対策を選んだら、変更前後の条件をそろえて測る

次のシートを使うと、施策と結果を結びつけて記録できます。件数や時間には、自社の実測値を入れます。

項目記入する内容
対象窓口、用件、時間帯
起きている問題待ち、確認待ち、入力負担、欠員など
原因の仮説どの記録から、何が原因と考えたか
変えること配置、案内、手順、教育、支援機能など
主な測定項目後処理時間、待ち時間、相談回数など
悪化を見逃さない項目誤案内、再入電、残業、現場の負担感
判定と次の行動続ける、直す、元に戻す

繁忙期と閑散期、簡単な用件と難しい用件を、そのまま比較しないようにします。施策をいくつも同時に変えると、何が効いたかを判断しにくくなるため、できる範囲で対象を分けて試します。

一週間の観察で、どこから改善するかを決める

最初から精密な人員計画を作れなくても、時間帯ごとの入電と、実際に受電できた人数を同じ表へ並べることはできます。ここでいう一週間は観察方法の例であり、すべての窓口で十分な期間という意味ではありません。月末や発送後に電話が集中する業務なら、その時期も含めて確認します。

記録する際は、電話を受けた件数だけでなく、着信したが応答できなかった件数、折り返しへ回した件数、途中で切れた件数を分けます。応答できた電話だけを見ていると、対応できなかった需要が表に出ません。システムごとに指標の数え方が異なる場合は、管理画面の定義を確認してから集計します。

担当者の人数にも条件を付けます。出勤していても、休憩、研修、相談対応、メール処理中は受電に使える時間が限られます。名簿の人数ではなく、その時間にどの仕事を担当していたかを確認します。人数を細かく管理する目的は、個人を責めることではなく、必要な仕事へ時間が配分されているかを知ることです。

観察する内容記録の例判断に使う問い
入電時間帯、用件、応答の結果いつ電話が集中するか
処理通話、保留、後処理どの工程に時間を使うか
配置受電、研修、相談、他業務受電できる時間はどれだけか
再作業聞き直し、訂正、再入電同じ仕事が繰り返されていないか
未完了折り返し、照会待ち、承認待ち電話の後に何が残っているか

表を埋めるだけで終わらず、管理者と現場で一件の実例を照合します。記録上は後処理が長くても、実際には担当者の承認を待っている場合があります。数字に表れた工程と、止まっている理由が一致するかを確認してから対策を選びます。

配置を変える場合は、移した先の仕事も確認する

朝の入電に合わせて配置を増やす場合、その時間に行っていた研修や記録確認をどこへ移すかも決めます。電話を取れる人数だけを増やし、教育や品質確認を後回しにすると、別の問題が後から現れる可能性があります。業務全体の時間配分として考えることが必要です。

たとえば短時間の集中へ対応するため、他の業務から応援を入れる場合は、応援者が扱う用件を限定します。すべての問い合わせを担当できることを前提にせず、定型案内や一次受付など、教育と確認の範囲をそろえます。判断に迷ったときの相談先が必要なことは、通常の担当者と同じです。

折り返し受付へ切り替える方法も、電話の量を消すわけではありません。後の時間帯へ仕事を移すため、その時間に連絡を実行できる体制が必要です。折り返しの希望を多く受け付けても、担当者が確認できなければ、問い合わせと再入電が重なる可能性があります。

変更後は、待ち時間だけでなく、未完了の折り返し、残業、教育の実施状況を見ます。一部の時間帯で改善していても、別の時間に作業が積み上がっていないかを確認してください。配置の変更は、現場の勤務条件や運用ルールを踏まえて調整します。

新人の人数を、対応できる用件の量へ読み替える

新人が増えた直後は、受電できる人数が増える一方で、指導や確認の時間も必要になります。教育中の人を経験者と同じ対応量で数えると、現場の負担を見誤ります。扱える用件と、相談が必要な条件を段階ごとに整理すると、任せられる仕事を具体的に把握できます。

最初の段階では、用件を聞き、必要項目を記録し、正しい相談先へ渡せるかを確認します。次に、参照資料を使って定型の案内を行い、最後に、条件に応じた判断が必要な用件へ広げます。進む基準は研修を受けた日数だけでなく、実際の会話と記録で確認できる状態にします。

育成の段階試す仕事指導側が確認する点
受付を覚える用件と連絡先を聞いて残す必須項目と未確認の区別
定型案内を行う資料を探して説明する参照先と適用条件の確認
条件を判断する例外を見分けて相談する自己判断してはいけない境界
業務を完了する記録と後続の連絡を終える完了条件と残作業の確認

指導担当者に集まる質問は、内容を整理してマニュアルへ戻します。同じ質問が何度も出る場合、覚える努力の不足だけではなく、検索しにくい、条件が曖昧、実例がないといった資料側の問題が考えられます。質問されたことを責めず、質問が必要になった理由を確認します。

また、相談してよい人が一人に固定されていると、その人の不在や繁忙が全体へ影響します。判断基準を共有し、相談を受ける時間と担当を設けることで、支援を個人の善意だけに頼らない形へ近づけます。教育に必要な時間は、余った時間ではなく業務として確保します。

後処理を短くする前に、記録の用途を確かめる

記録項目を減らすときは、入力にかかる時間だけでなく、その情報を次に使う担当者を確認します。誰も見ていない項目を残し続ける必要はありませんが、後で折り返すための情報を削ると聞き直しが増えます。入力の短縮と、後続の仕事のしやすさを一緒に見ます。

たとえば会話の全文を複数の場所へ転記しているなら、正式な記録先をそろえ、別の場所には必要な識別情報や参照先を残す方法を検討します。システム変更がすぐにできなくても、同じ説明を何度も入力している箇所を洗い出すだけで改善候補を見つけられます。

AIで要約を下書きする場合も、確認と修正の時間を含めて測ります。日付や番号の誤りを毎回直す必要があるなら、生成時間が短いだけでは後処理の改善になりません。必須項目を絞り、希望、確認済み、回答、残作業を分けた形式で試すと、確認する場所を明確にできます。

入力の負担が大きいという声には、画面の切り替え、権限不足、システムの待ち時間などが含まれることもあります。文字を打つ速さだけを目標にする前に、担当者の操作を観察してください。道具や手順に原因があるなら、個人の努力で埋め合わせるより、作業の仕組みを直す必要があります。

問い合わせが増える原因を、電話の外へ戻す

同じ質問が増えたときは、その直前に何が変わったかを確認します。案内文を送った、請求の表示が変わった、申込み画面を更新したなど、電話以外の接点が問い合わせを生む場合があります。電話の担当者だけで対応量を補おうとせず、案内や手続きを管理する部署と共有します。

共有する際は、「問い合わせが多い」だけでなく、顧客がどの言葉で何を尋ねているか、どこまで理解していたか、回答後に何をしたかを整理します。Web側の説明と電話で使う言葉が違うなら、同じ用件を指す表現をそろえる改善が考えられます。

変更後は、対象の問い合わせが減ったかと、利用者が必要な手続きを進められているかを見ます。電話番号を見つけにくくして入電が減っただけなら、問題が見えなくなった可能性があります。問い合わせの減少を成果とする場合ほど、顧客が困ったままになっていないかを確認してください。

施策の優先順位は、影響と実行可能性で決める

改善候補が多いときは、影響する用件の量、誤りが起きた場合の影響、変更に必要な準備、効果を確かめられるかを並べます。すぐできる施策だけを選ぶと大きな原因が残り、効果が大きそうな施策だけを選ぶと準備が長くなることがあります。短期の調整と、継続して整える仕事を分けて進めます。

対策の優先度を、二つの軸で考える。実行の負担、小さい、大きい、期待する改善の大きさ、小さく試す候補、体制を整えて検討、余力に合わせて対応、進め方を再検討、自社の状況で配置して考えるための整理図。

図3:対策の優先度を、二つの軸で考える。数量や実績を示すものではなく、考え方を整理した図。

たとえば朝の入電集中には配置の調整を試しつつ、問い合わせを生む案内の修正を別の担当者が進める方法があります。二つを同時に変える場合は、何をいつ変更したかを残し、効果を一つの要因だけへ結びつけないようにします。実施した施策の数より、原因と結果の関係を確かめることが重要です。

振り返りでは、主な指標だけでなく、現場の負担感と未対応の仕事も確認します。待ちが減っていても、指導担当者が休憩を取れなくなっていれば、続けられる運用とはいえません。目先の応答量を増やすことと、安定して対応を続けられることを一緒に考えましょう。

小さな改善でも、別の担当者の負担を確認する

一次受付を短くした結果、確認不足の記録が後工程へ流れると、調査担当や折り返し担当の作業が増えることがあります。改善を評価するときは、変更した担当者だけでなく、次に記録を受け取る人にも使いやすさを確認します。電話中と通話後の仕事を合わせて見ることで、負担の移動を把握できます。

たとえば受付項目を減らす場合、削除した項目が実際に後続作業で使われていたかを確かめます。必要な項目であれば質問を残し、別の情報から分かる項目なら転記や取得方法を見直します。聞く項目を一律に減らすより、使い道に沿って整理する方が、業務に合った改善になります。

現場の意見を集める際は、困った通話を責任追及の材料にしないことも大切です。どの情報や手順があれば対応しやすかったかを尋ね、個人の頑張りで補っていた部分を仕組みに反映します。改善後の手順が忙しい時間帯でも使えるかを確認し、定着まで含めて見直しましょう。

よくある質問

AIを入れれば、人手不足は解消しますか?

対象の仕事と、導入後の確認・保守の負担によります。採用条件や定着、入電の集中が主な原因なら、それぞれの対策も必要です。

まず何のデータを集めればよいですか?

時間帯別・用件別の件数と、通話・保留・後処理の時間、実際に受電できた人数から始めます。記録できないものは、限定した期間の観察から整理する方法があります。

通話時間を短くする目標は有効ですか?

一つの観点にはなりますが、短縮で再入電や誤案内が増えていないかも確認します。顧客の用件が終わるまでの総作業量を見ることが大切です。

最初は「いつ、何の仕事が足りないか」を共有する

人手不足への対策は、現場の忙しさを具体的な仕事と時間へ分けると選びやすくなります。人数の問題、配置の問題、判断や入力の負担を分け、最も確かめやすいところから改善しましょう。

Daisybellへのご相談では、電話が集中する時間帯と、担当者の負担になっている用件・後処理をお聞かせください。

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