基本知識

架電・受電とは?違いと電話業務で使う基本用語

架電は電話をかけること、電話業務での受電は電話を受けること。入電・発信・インバウンドなどの関連語、受電と折り返し架電の流れ、記録で用件をつなぐ方法を整理します。

公開日: Daisybell Japan

架電・受電とは?違いと電話業務で使う基本用語

電話業務では、架電(かでん)は電話をかけること、受電(じゅでん)は電話を受けることを指します。 自社の窓口を基準にすると、お客さまからの電話を受けるのが受電、自社からお客さまへ連絡するのが架電です。

架電は営業の電話だけを指すわけではありません。問い合わせへの折り返し、予約内容の確認、調査結果の連絡も架電に含まれます。一つの用件を受電で受け付け、調査後に架電して回答することもあります。

この記事では、電話業務を初めて担当する方に向けて、二つの言葉の違い、入電・発信・インバウンドなどの関連語、受付から記録までの基本的な流れを整理します。

架電と受電の違いを、電話の向きと仕事で見る

比較する点受電架電
読み方じゅでんかでん
電話の向き相手から自社へ自社から相手へ
仕事の例問い合わせ、注文・予約、相談、取次ぎ折り返し、予約確認、結果連絡、営業
会話の始め方名乗り、用件を確認する名乗り、目的と相手の都合を確認する
事前の準備案内情報、受付項目、担当者一覧連絡先、連絡理由、前の受付記録
通話後の記録受けた用件、回答・依頼内容、次の担当接続結果、伝えた内容、次の行動

架電と受電は、電話の向きで区別する。自社、相手、架電:こちらからかける、受電:かかってきた電話に応対、折り返しの電話も、自社からかければ架電。

図1:架電と受電は、電話の向きで区別する。本文の関係や手順を整理した図。

この表は一般的な業務例です。実際に扱う用件と完了条件は、窓口ごとに決めます。

入電・着信・発信との関係

入電(にゅうでん)や着信は、電話が入ってくることを表す言葉です。 電話業務で「受電する」と言うと、その電話を受けて対応することを指す場面が多くあります。

電話がかかってきても、混雑などで担当者が応答できない場合があります。そのため、件数を記録する際は、「かかってきた件数」と「応答した件数」を分けると状況を把握しやすくなります。ただし、「受電件数」という名称で何を数えるかは、社内の定義やシステムで確認してください。

発信は電話をかけることを表し、架電と近い意味で使われます。 発信しただけでは、相手が応答したか、伝えたい内容が伝わったかまでは分かりません。電話の操作と、用件の完了を分けて考えましょう。

インバウンド・アウトバウンドとは

電話窓口では、インバウンドは相手側から始まる連絡、アウトバウンドは企業側から始める連絡を表す言葉として使われます。受電業務をインバウンド業務、架電業務をアウトバウンド業務と呼ぶことがあります。

公式なシステム資料の例では、AWSは顧客から開始した音声連絡をINBOUND、担当者が外部番号へ開始した音声連絡をOUTBOUNDとして説明しています。これはその製品内の分類であり、社内の集計名と必ず一致するとは限りません。AWS「コンタクトの開始方法とフローの種類」

また、インバウンド・アウトバウンドは電話以外の文脈でも使われます。業務資料で見るときは、「電話の向き」の話なのか、「窓口が扱う連絡全体」の話なのかを確認すると混乱を減らせます。

受電業務の基本的な流れ

ここでは、お客さまからの問い合わせを受け付ける一般例を示します。すべての通話で同じ項目を順に聞くのではなく、用件に必要な確認を行います。

  1. 名乗る:相手が正しい窓口へつながったと分かるようにする。
  2. 用件を聞く:すでに話された内容を使い、不足だけ確認する。
  3. 必要に応じて本人確認を行う:個別情報の案内や操作は、社内の手順・権限に従う。
  4. 回答・取次ぎ・折り返しを判断する:分からない内容を推測で案内しない。
  5. 受付内容と次の行動をそろえる:相手の希望と、確定した内容を分ける。
  6. 記録して引き継ぐ:自分が電話を切った後に必要な仕事を残す。

厚生労働省の職業分類でも、電話などによる応接事務には、注文・予約・問い合わせ・相談など複数の仕事が挙げられています。受電を「質問に答えるだけ」と捉えず、自分の窓口の対象を確認しましょう。厚生労働省編職業分類(036 電話・インターネットによる応接事務の職業)

架電業務の基本的な流れ

ここでは、問い合わせに回答するために折り返す場面を例にします。

  1. 連絡理由と受付記録を確認する:誰に、何を伝えるための電話かを整理する。
  2. 連絡先・希望時間を確認する:訂正された番号や相手の希望を反映する。
  3. 発信して名乗る:窓口名と連絡理由を伝え、話せる都合か確認する。
  4. 必要な相手確認を行う:別の人が応答した場合、個別情報を不用意に伝えない。
  5. 回答・確認を行う:前の受電内容と矛盾がないか確認する。
  6. 結果を記録する:通話できた、不通、別の人が応答、再連絡予定などを分ける。

たとえば、次のように始められます。架空の問い合わせへの折り返し例です。

〇〇窓口の田中です。先ほどのお問い合わせについてご連絡しました。ただいまお話ししてもよろしいでしょうか。

相手が出なかった場合、用件はまだ伝わっていません。「架電済み」だけで完了にせず、次にいつ、どの方法で対応するかを社内の手順に沿って残します。

電話業務でよく使う基本用語

用語意味の目安実務で確認すること
取次ぎ用件に合う担当者へつなぐこと接続先、不在時の扱い、渡す情報
保留通話中に相手に待ってもらうこと確認する内容、長引いた場合の案内
折り返しいったん受けた連絡に対して後から連絡すること希望時間、連絡先、担当者
転送電話を別の接続先へ送ること接続できたか、失敗時の経路
後処理通話後の記録・入力・依頼など完了条件と、残った作業
エスカレーション判断・権限・専門性が必要な担当者へ相談や処理を上げること上げる条件、相手、記録

似ていても、「転送した」と「相手の担当者が引き受けた」は異なります。取次ぎやエスカレーションを行うときは、誰が続きの仕事をするのかを確認します。

同じ用件の受電と架電を、記録でつなぐ

予約内容の確認を受け付け、調査後に回答する架空の例です。

受電と折り返しを、一つの案件で追う。受電、担当へ共有、架電・不在、再架電・応答、結果記録、用件を受付、伝達は未実施、回答を伝える、同じ問い合わせ、説明用の流れ。

図2:受電と折り返しを、一つの案件で追う。説明用の例。実際の業務条件に合わせて調整。

場面残す記録の例その時点の状態
問い合わせを受電確認したい内容、連絡先、連絡可能な時間受付済み、回答待ち
担当者が調査参照した情報、確認結果回答の準備ができた
回答のために架電、不通発信時刻、応答なし、次の連絡方針回答は未伝達
再度架電して説明伝えた回答、相手の確認、残る作業回答済み、必要なら継続対応

受電担当と架電担当が別の場合も、同じ受付記録を参照できるようにすると、最初から聞き直す負担を減らせます。会話の手順は、電話対応マニュアルの作り方で詳しく扱っています。

AIへ任せるときも、向きと完了条件を分ける

受電では、定型案内や必要項目の聞き取り、架電では、決めた内容の連絡などが検討対象になります。ただし、受電に対応するサービスが、そのまま架電にも対応するとは限りません。

どちらも、対象の用件、必要情報、実行できる操作、人へ切り替える条件を確認します。電話を受けた・かけた件数だけでなく、その用件がどこまで進んだかを追える設計が必要です。具体的な役割分担は、AI電話対応とは?を参照してください。

同じ電話でも、立場によって呼び方が変わる

架電と受電は、どちら側から電話をかけたかを基準にした言葉です。自社から顧客へ連絡した電話は、自社側では架電、顧客側では受電になります。相手が問い合わせをしたことのある顧客でも、自社が折り返す場面は架電です。営業目的かどうかだけで判断すると、確認連絡や折り返しの記録を誤って分類してしまいます。

たとえば、午前中に配送日時の問い合わせを受け、倉庫に確認した後で顧客に結果を伝えるケースを考えます。最初の電話は受電、倉庫への確認電話と顧客への折り返しはそれぞれ架電です。一つの問い合わせを解決するまでに、複数の電話が発生しています。用件の件数と電話の回数は一致するとは限りません。

社内連絡も含めて架電件数を集計するかは、目的やシステムの定義によります。顧客向けの活動量を確認したい集計に社内確認の電話が混ざると、数値の意味が変わります。言葉の一般的な意味を理解したうえで、自社の帳票で何を数えているかを確認することが大切です。

「入電があった」と「対応した」は分けて伝える

電話がかかってきたことを知らせたいときと、用件への対応まで終えたことを知らせたいときでは、必要な情報が違います。「入電がありました」だけでは、誰かが応答したか、留守番電話に入ったか、不在着信だったかが分かりません。引き継ぎでは、着信の事実に続けて応答状況を伝えます。

「本日、取引先から入電があり、代表窓口で用件を受け付けました。担当者への確認待ちです」と書けば、相手との会話が済んでいても案件は未完了だと分かります。「不在着信がありました。用件は未確認です」なら、折り返す担当者は、最初に連絡目的を確認する必要があると判断できます。

新人担当者が押さえたい受電前・架電前の準備

受電では相手の用件が分からない状態から会話が始まります。よくある用件の確認先、担当部署、保留中に参照する資料をあらかじめ整理しておくと、着信してから探す作業を減らせます。受付窓口の名称や最初の名乗り方も、担当者ごとにばらつかないようにしておきましょう。

架電では、電話をかける前に目的を明確にできます。「何を伝えるか」「何を確認するか」「相手が不在ならどうするか」を分けて準備します。資料を読みながら用件を考えるのではなく、相手と話せた場合に必要な確認ができる状態にしてから発信すると、話し忘れによる再連絡を防ぎやすくなります。

準備する項目受電での確認架電での確認
名乗りどの窓口につながったかを伝える所属と氏名、連絡目的を伝える
必要な資料よくある質問と担当先を参照できる対象案件の事実関係を確認しておく
相手の確認用件に応じた確認手順を使う意図した相手につながったか確認する
対応できない場合取次・折り返しなどの選択肢を使う不在時の記録と次の連絡方法を決める
終了後受け付けた用件と担当を記録する伝達結果と未確認事項を記録する

この表は基本的な整理であり、すべての電話で同じ情報を聞くという意味ではありません。営業時間の問い合わせに、手続き変更と同じ詳しい本人確認を持ち込むと、必要以上の負担になります。何を案内し、何を変更する電話なのかに応じて確認項目を定めます。

相手が忙しい場合の進め方も準備する

架電先が電話に出ても、用件を話せる状況とは限りません。急いで説明を始めるのではなく、「先ほどのお問い合わせの件でご連絡しました。今、お話ししてもよろしいでしょうか」と確認する場面があります。難しい場合は、改めて連絡する方法を相談し、その合意を記録します。

相手の希望時刻を聞いた場合も、自社側が対応できるかを区別します。「その時間帯をご希望として承りました」と「その時間に必ず電話します」は異なります。担当者に確認せず約束をすると、次の連絡で期待とのずれが生じます。言葉の選び方は、架電や受電という区分以上に、対応品質に影響します。

電話の記録には方向・結果・次の行動を残す

「架電済み」「受電済み」だけの記録は、作業をしたことは分かっても、その後の判断に使いにくい場合があります。電話の方向、相手との会話結果、案件の状態、次に必要な行動を分けると、引き継ぎ先が同じ確認を繰り返さずに済みます。

電話の状態と、用件の完了は別。発信、着信、相手と話せた?、応答、必要な対応が終わった?、用件完了、対応が残る、未接続・未応答、はい、いいえ、電話の方向と、対応結果を分けて記録。

図3:電話の状態と、用件の完了は別。本文の関係や手順を整理した図。

曖昧になりやすい記録状態が分かる記録例
架電済み顧客へ発信したが応答なし。用件の伝達は未実施
受電対応済み変更希望を受け付けた。可否は担当部署に確認中
折り返し済み本人と通話し、回答を伝達。追加の問い合わせはなし
担当に回した担当部署に記録を共有。担当者の引き受けは未確認
また連絡する再連絡が必要。担当者と連絡予定を確認する

これらは社内記録の書き方の例です。細かい欄を増やすこと自体が目的ではありません。次の担当者が必要とする情報が、抜けずに残る形にします。日時や発信先などシステムで記録できる情報は重複して入力させず、人が判断した結果や未確認事項を記載する欄に集中させる方法もあります。

留守番電話に伝言を残した場合は、「伝言を残した」と「相手が内容を確認した」を分けます。折り返しを依頼しただけで案件を完了にすると、そのまま連絡が途切れる可能性があります。伝言の内容や次の確認方法は、自社の情報管理と連絡ルールに従って決めてください。

集計するときは「回数」と「用件」を混同しない

架電件数や受電件数は、電話業務の量を把握する手掛かりになります。ただし、件数だけでは業務が進んだかは判断できません。何を一件と数えるかをそろえ、接続や対応の結果と併せて見る必要があります。

たとえば、一つの問い合わせについて三回発信し、最初の二回は不在、三回目に回答を伝えたとします。発信の試行を数える集計なら架電は三回ですが、解決した問い合わせは一件です。三回とも別案件として扱うと、対応した用件の数を実態より多く捉えてしまいます。これは考え方を示す仮の例であり、特定企業の実績ではありません。

同じように、電話の転送によって一つの通話が複数の記録に分かれる場合もあります。集計画面の項目名が同じでも、システムによって対象となる範囲が異なることがあります。比較する前に、発信試行、接続、通話、転送、用件完了のどこを数えているかを確認しましょう。

担当者の評価には業務条件を添える

不在が多い連絡先への架電と、短い案内で終わる受電では、同じ時間に処理できる回数が変わります。件数の大小だけで担当者を評価すると、難しい用件や丁寧な確認が必要な仕事を担う人の状況が見えなくなります。用件の種類、後処理、再連絡の必要性などを添えて読み取ります。

集計の目的が配置の見直しなら、時間帯ごとの着信や未処理の折り返し件数が役立ちます。案内の改善なら、同じ案件での再問い合わせ理由が手掛かりになります。まず何を改善したいかを決め、その目的に対応する記録を選ぶと、数字を集めるだけの作業を避けられます。

受電から折り返しまでを一つの案件として引き継ぐ

受電担当と架電担当が別の場合、電話の方向が変わるところで情報が途切れやすくなります。受電担当は受付内容を残し、折り返し担当は前の会話を確認してから連絡します。相手に用件を最初から説明してもらう必要があるかどうかは、この引き継ぎの質に左右されます。

引き継ぎでは、相手が伝えた事実、希望、こちらが案内した内容を分けます。「明日までの回答を希望」と「明日までに回答すると約束」は同じではありません。希望が社内の約束に変わっていないかを確認し、未回答の質問を明確にしておきましょう。

折り返しの担当者が決まっていない記録は、共有しただけでは進みません。誰が引き受けるかを確認する手順が必要です。担当が不在の場合の代替窓口、連絡がつかなかった場合に記録する結果、次の対応を決める人を整理すると、受電と架電をまたぐ仕事が追いやすくなります。

用語を覚える研修では、短い場面問題を使う

新人研修では、言葉と意味の暗記に加えて、実際の場面を分類する練習が有効です。「着信したが応答できなかった」「問い合わせの回答のために電話した」「他部署から転送を受けた」などを示し、方向と対応結果を別々に説明してもらいます。

正解を一つの用語だけで答えさせるより、「こちらから発信したが、相手と話せていない」のように状態を言葉にしてもらうと、理解のずれが分かります。社内システムに独自の項目がある場合は、その項目にどう記録するかまで練習します。一般的な用語と自社の運用を結び付けることが、現場で使える知識につながります。

研修後は、短い記録を別の担当者が読んで、次の行動を説明できるか確認します。架電・受電の分類が合っていても、誰が何をするか分からなければ引き継ぎとしては不足です。用語を正しく使うことと、仕事を進められる記録を残すことを、セットで身に付けていきましょう。

社内の略語は初めて読む人に合わせて補う

記録で使う略語は、部署が変わると意味が伝わらない場合があります。新人や別部門へ渡す記録では、初出で意味を補うか、共通の表記に置き換えます。電話の方向、接続結果、案件の状態を別々に書く運用なら、独自の略語を知らなくても状況を把握しやすくなります。

用語集は項目を増やすだけでなく、実際に迷った例を添えて更新します。「折り返しを依頼されたが、まだ発信していない」など、似た言葉を混同しやすい場面を記載すると、入力時の判断に使えます。表記を統一する目的は、見た目をそろえることに加えて、次の担当者が状態を正しく理解できるようにすることです。

よくある質問

折り返しの電話は架電ですか?

自社から相手へかける折り返しは架電です。最初の電話が相手からであっても、個々の通話の向きで区別します。

架電はテレアポと同じ意味ですか?

同じではありません。テレアポは電話で訪問・商談などのアポイントを取る活動で、架電には問い合わせの回答や確認連絡も含まれます。

受電業務では電話をかけることもありますか?

あります。問い合わせを受け、調査後に折り返す窓口では、受電と架電の両方を担当します。求人や担当表では、業務名に加えて実際の仕事内容を確認してください。

受電件数と入電件数は同じですか?

社内の定義によります。応答できなかった電話を含むか、転送を別件として数えるかなどを確認し、同じ条件で比較します。

電話の向きに加えて、次の仕事を把握する

架電と受電の違いは、電話をかけるか受けるかです。そのうえで、通話の目的、必要な確認、記録、後の担当者まで分かると、日々の業務を進めやすくなります。

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